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キヨラビ誕生物語

キヨラビ誕生物語 プロローグ

出会った方、ほぼ全員に聞かれます。
「水素水の会社を始めたきっかけは一体何だったのですか?」
まあ、そりゃそうでしょう(笑)。50歳を過ぎたおばちゃんが二人で起業し、まあ今のところうまくいっている。それも創業7年たらずで、工場を二つ建て、全くの無名だった水素水キヨラビがそこそこ知られるようになれば、誰だっていったいどうやって?それも底抜けに明るい元気な会社。社員が誰一人辞めない会社。こんな田舎の片隅なのに若者がいっぱい働いている。
興味を持たれるのも当然と言えば当然でしょう。

実は一緒に起業した姉も私も“普通の会社”というものをほとんど知りません。
業者さんに「製造業であちこちから笑い声が聞こえる会社なんて始めてです!」と言われてこちらがびっくり!えっ!製造業の会社って笑わないんですか?それこそ不思議です。
社員の名誉のために言っておきますが、へらへらして製造しているわけではないですよ(笑)。仕事中はみんな真剣そのものです。
でも現場を離れれば、和気あいあい。飲み会ともなれば、よほどのことがない限り欠席者なし。帰りが不安ならホテルを取ってでも最後まで付き合う(笑)。

こんな会社ができたのには確かに理由があります。“社員は家族”などとよく言いますが、少々きれいごとにも聞こえます。確かに本当の家族とは違いますが、“家族的な雰囲気”というのはあり得ると思います。私たちが主婦的な発想や母親的なことしかできなかったから、結果としてそうなるしかなかったのだろうと思いますが・・・。
要するに社長とか経営者とか、一体どういう生き物か私たち自身がよく分かってない!(笑)。

もちろん最初は少しは悩みました。社長ってどんな事やるんだろう?やっぱり朝礼とか、定例会議とか、営業とか、“ほうれんそう”とかやらなければならないんだろうか?などなど。
どれをとってもやりたくないことばかり(笑)。じゃあやめよう!(笑)。
50歳過ぎてまわりの真似ごとなんてやってもどうせやれっこない!しかもこの歳になってストレスになるようなことは嫌だし、そもそも人の嫌がることをやるために会社を始めたわけじゃない。残りのささやかな人生、多少なりとも誰かのお役に立ちたくて始めるわけだから、自分たちが嫌なこともやりたくないし、誰かが嫌がることをやってまでお金がほしいわけじゃない。嫌だ!と思うことは一切やらない!!
そう決めた途端、姉と二人でスッキリ!!
もしどこかで誰かに迷惑をかけそうになったら、とっととやめればいい。そのときは二人で弁当屋か居酒屋でもやろう!
別に事業に成功したいとか、お金持ちになりたいとか思ってるわけじゃない。食べていければいいし、子どもたちが無事大人になってくれればいい。残りの人生を使わせてもらって、ほんの少し世の中のお役に立てればいい!人生の決算がトントン、もしくは多少なりとも黒字になれば最高!
そう思ってスタートしました。でも、スタートまでは確かに山あり谷あり。今思えばよくここまでたどり着いたと思います。でも、とにかく楽しかったし、今でも毎日最高に楽しいし、幸せです。

お金は確かに必要です。生きていくためには絶対に必要なものです。でも人間は肉体のみで生きているわけではありません。心があります。心の栄養は誰かの笑顔。もしありがとうと言ってもらえるなら、そういう人生を送ることができるなら、むしろ私たちのほうがありがとうございます。なのです。心から、心から感謝しています。

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